秋の星空観測記

 残暑は過ぎ行き、秋の訪れを待つ時分、
巨大マンモス校で総生徒数が8万人を誇る私たちの翔愛学園一同は「沖縄県中頭郡北谷町」にある「アメリカンビレッジ」という場所に行くこととなった。

 その修学旅行に行く日を告知される数日前、真夏に行われた花火大会があった場所に「夏宮(磯崎)インダストリー(←名前は適当に変えてください)」が開発した「重機娘」がわずか3日で飛行場を作った。
 従来なら考えられないことで、未開発だった土地に「ショベル娘」が(おもいつかない)、
「モーダーグレーダー娘」が世界最大となる10000ヘクタールの土地を整地し、
これまた世界最大となる8本の滑走路を「重機娘」が整備する、世界最大級の工事となった。

着工からわずか3日。

この事は世界中の土木関係者を仰天させた。

 そして、修学旅行当日。
8万人を超える生徒数をを沖縄へと運ぶ飛行機も膨大な数。
250機の航空機が8本の滑走路を30分間隔で離陸。
とても常識では考えられないが、これが翔愛学園、ひいてはこの学園都市のスポンサーの力だ。

とまあ、前置きはここまでにして、旅行に話に移ろう。

翔愛学園より幾分か蒸し暑さを感じる那覇空港のロビー。

そこに、ある生徒の一団がいた。
携帯用天体観測用具を持つ集団の中に星座早見盤と星図をもつ小柄な少女、かなり以前から天文部に所属してはいたが、
天体観測は初めてと、沖縄に来たことも初めてということもあってか、周りをきょろきょろしている。

「少しは落ち着いたらどう?」
天文部の中でも比較的新しく入った人が観測用具を胸に抱く少女に言った。
少女は背丈に似合った乏しい胸を張り、少女より頭一つ背の高い、大きめのリュックを背負った学年が一つ下であることを示す胸元のリボンを付けた女の子に言い返した。
「ボクは沖縄に来たの初めてなんだもん、初めての場所だったらこれくらい普通でしょ?」
背の低いほうの女の子と、隣り合わせで歩いている学年が下の女の子はあきれた風に「そうやって子供みたいにはしゃぐのあなただけよ」と背の低い方の女の子に言うと、
「むー、いじわるだよー」少女は頬を膨らませ、隣を歩く女の子に言い返した。

極めて大勢な人でごった返す那覇空港

それもそのはず。
たったいま、320人を乗せた飛行機の20機目がこの空港に来たのだから。
現在、那覇空港にいる生徒数は6000人ほど。
翔愛学園の総生徒数の10分の1にも満たない。
しかし、空港のロビーは溢れんばかりの生徒と、雑談の声。
生徒会が必死に生徒の波を誘導しているが、とても追いついていない。
そこで、大勢の生徒が動くときには最上級生の有志たちが率先して、誘導整理にあたっている。
一番最初の飛行機が到着してから約1時間半、「1年68組」一同はロビーに集まった。
しかし、教員が点呼をとっても数が一人足りない。
そう。
いつもの事なのだ。

ここで、8万人の生徒を擁する翔愛学園の紹介をしよう。

周囲すべてが山に囲まれ、清らかな川のせせらぎが聞こえ…
は、もう昔の話かもしれない。
今や、翔愛学園、そして翔愛学園が存在する、翔栄町は巨大な学園都市へと姿を変えた。
山奥に木造校舎だけが存在し、まばらにあった家々は瞬く間に冷暖房完備の校舎が建ち、